デジタル化に取り残される高齢者はどうすれば良い?もたらす影響や原因、対策や自治体のできることも

デジタル化に取り残される高齢者はどうすれば良い?もたらす影響や原因、対策や自治体のできることも お役立ち情報

近年、ペーパレス化やキャッシュレス化、手続きのオンライン化などの社会全体でデジタル化が急速に進んでおり、「スマートフォンやパソコンを使いこなせるかどうか」が日常生活の利便性を左右する時代になりました。

ただ、総務省の調査によると、70歳以上のスマートフォン・タブレット利用率は約40%にとどまり、若年層との間に大きな情報格差が生じています(※)。

このようなデジタル化の恩恵を受けられない高齢者が取り残されてしまう点は、社会全体で取り組むべき課題といえるでしょう。

本記事では、デジタル化に取り残された高齢者はどうすれば良いかについて、もたらす影響や原因、対策や自治体のできることも交えて解説します。

(※)参考:総務省「令和3年版 情報通信白書」

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【前提】デジタル化への対応は必須!3つの理由

社会のあらゆる分野でデジタル技術の導入が進み、買い物や店舗の予約、行政手続きなど、多くのサービスがオンラインへと移行しています。

このようなこともあり、現代社会において「デジタルツールが利用できるかどうか」が日常生活の利便性を左右するようになりました。また、今後もデジタル技術の進化が容易に予想でき、より高度なデジタルツールが社会全体のサービスを変える可能性も十分にあり得ます。

このような背景を踏まえると、デジタル化への対応は必須といえるでしょう。

ここでは、デジタル化への対応が必須な理由について、以下3点を解説します。

①社会でのデジタル化が進んでいるため

行政手続きのオンライン化や、マイナンバーカードの普及、銀行窓口の縮小やオンライン予約の必須化など、社会のあらゆる分野においてオンラインサービスへの移行が加速しています。

デジタル化に対応しなければ、必要なサービスの利用自体ができなくなり、日常生活をおびやかすリスクがあります。

②労働人口の減少に対応するため

日本は少子高齢化の影響で労働人口が減少しており、従来の人手に依存した業務体制では、企業活動や行政サービスの維持が困難になると予測されています。

このような背景もあり、業務の自動化や効率化を可能とするデジタル技術の活用は社会全体として進められています。

ただ、デジタル技術を利用する働き方に変わるため、企業や行政から求められる人材もデジタル化に対応した人材が求められるようになるでしょう。

参考:厚生労働省「第1章 平成の30年間と、2040年にかけての社会の変容」

③日常生活が便利になるため

スマートフォンやパソコンを活用すれば、買い物や店舗の予約、情報収集など、日常生活のさまざまな場面で利便性が向上します。自宅にいながら商品を注文したり、病院の予約をしたり、家族とビデオ通話でコミュニケーションをとったりすることも可能です。

とくに、外出が難しい高齢者にとって、デジタル技術は生活の質を高める手段になります。災害時には緊急情報がスマートフォンへ配信されるため、デジタルデバイスが命を守る情報源にもなるでしょう。

デジタル化がもたらす悪影響とは?

デジタル化は利便性を高める一方で、新たな課題や問題を生み出す側面もあります。とくにデジタル技術への対応が難しい人々にとっては、社会参加の機会が制限されるリスクがある点に注意が必要です。

ここでは、デジタル化がもたらす悪影響について、以下5点を解説します。

①高齢者が取り残される

デジタル化が進むほど、スマートフォンやパソコンを使いこなせない高齢者が必要な情報の検索やサービスの利用ができなくなってしまいます。とくに、デジタルツールを使えない高齢者は、直接窓口や店舗に足を運ばなければならないため、身体的な負担が増す傾向にあります。

このような点から、デジタル化は便利さと同時に、一部の人々を社会から孤立させるリスクをもたらす原因になりかねません。

②コミュニケーションが希薄になる

オンラインでのやり取りが主流になると、対面でのコミュニケーション機会が減少します。家族や友人との連絡手段がLINEやメール、SNS中心になれば、デジタルツールを使えない高齢者は周囲との接点を失いやすくなります。

実際に、スマートフォン・タブレットが使えない高齢者が、家族のグループチャットに参加できず孤立感を覚えるケースも少なくありません。

このように、デジタルツールの利用可否によって世代間のコミュニケーションの壁を生んでしまうリスクがあります。

③セキュリティ上のリスクを抱えてしまう

総務省の調査によると、インターネット利用者の約75%が何らかの不安を感じており、「個人情報の漏えい」への懸念が90.1%ともっとも高い結果が出ています(※)。また、昨今では、架空請求やフィッシング詐欺など、インターネットを介した消費者トラブルが年々増加しています。

このような背景はデジタル化がもたらした悪影響といえ、単にデジタル化を進めるのではなく、リテラシーを身につける必要も大切であることがわかるでしょう。

(※)参考:総務省「令和4年版 情報通信白書」

④利用や運用にコストがかかる

スマートフォンやパソコンの購入代金や、毎月の通信料金は、年金収入が中心の高齢者にとって軽い負担とはいえません。また、デジタルツールは物価上昇の影響も受けているため、入手するだけでもハードルが高まっているのが現状です。

実際に、総務省の調査によると、世帯年収200万円未満のインターネット利用率は60%台と、400万円以上世帯の約90%に比べて著しく低くなっています(※)。

デジタル化に対応するために家計の負担が大きくなる点は、デジタル化による大きな課題といえるでしょう。

(※)参考:総務省「令和7年版 情報通信白書」

⑤デジタルツールありきになってしまう

社会全体がデジタル前提で設計されると、従来のアナログな手段が縮小・廃止される傾向にあります。銀行の窓口縮小や紙の書類の廃止など、デジタルに対応できない高齢者への配慮が不足するケースも十分にあるでしょう。

このような点から、「デジタルに対応できる人」と「対応できない人」の格差は大きく広がってしまいます。

デジタル化に取り残されてしまう原因

高齢者がデジタル化に取り残されてしまう背景には、技術的なハードルだけでなく、心理的・環境的な要因も影響しています。

このようなデジタル化の問題を解決するためには、デジタル化に取り残されてしまう原因を正しく理解しておく必要があるでしょう。

ここでは、デジタル化に取り残されてしまう原因について、以下5点を解説します。

①触れようとしない

スマートフォンやパソコンに対して最初から苦手意識をもち、触れる機会を避けてしまう高齢者は少なくありません。

総務省の調査でも、インターネットを利用しない理由として「どのように使えばよいかわからない」と回答した70歳以上の割合は40%超に上りました(※)。

(※)参考:総務省「令和3年版 情報通信白書」

②学ぼうとしない

新しい技術を学ぶことに対して消極的な姿勢も、デジタル化に取り残される原因の1つです。

若い頃に経験のない操作を覚えることへの抵抗感や、失敗への恐れから学習を避けてしまう傾向があります。また、「今さら覚えても遅い」という諦めの気持ちが、学習意欲を妨げる場合もあります。

③現状のままで良いと思っている

デジタルツールがなくても日常生活が問題なく送れている状態では、デジタル化の必要性を実感しにくいのは自然なことです。

総務省の調査によると、スマートフォンを利用しない理由として「自分の生活には必要ないと思っている」と回答した70歳以上の割合は50%超でした(※)。

(※)参考:総務省「令和3年版 情報通信白書」

④投資をしようとしない

スマートフォンの購入費用や通信料金を負担と感じ、デジタルツールへの投資を避ける高齢者も一定数存在します。

また、「購入しても使いこなせないのではないか」という不安から、お金をかけることに躊躇してしまうケースもあります。

⑤「私なんて」と考えてしまう

「自分には無理」や「若い人向けのもの」という思い込みが、デジタルツールへの挑戦を妨げる要因になりかねません。

これまでの経験で大きな成功体験がない高齢者に多い傾向にあります。このような方はメンタル面において健全な状態ではないため、挑戦することに対してバイアスがかかってしまいがちです。

デジタル化に取り残される高齢者はどうすれば良い?

デジタル化への対応は、年齢に関係なく誰でも始められます。最初から完璧を目指す必要はなく、身近なところから少しずつ慣れていく姿勢が求められます。

ただ、取り残されないための対策を丁寧におこなわなければ、逆効果となりかねません。このような点から、どのようなことができるのかを知っておく必要があるでしょう。

ここでは、デジタル化に取り残される高齢者はどうすれば良いかについて、以下5点を解説します。

①デジタルに触れてみる

デジタルツールへの苦手意識を克服する第一歩は、実際に触れてみることです。最初は電源の入れ方や画面のタッチ操作など、基本的な動作から始めれば問題ありません。

たとえば、スマートフォンの場合であれば、携帯電話ショップでスタッフが丁寧にアドバイスしてくれます。

このような機会を取り入れ、何度もデジタルツールに触れていければ、次第にデジタルに対する苦手意識が薄れます。

②家族に教えてもらう

身近な家族からデジタルツールの使い方を教えてもらう方法は、高齢者にとって心理的なハードルが低く、効果的な学習手段といえます。

わからないことをその場で質問でき、自分のペースで学べる点が家族から学ぶメリットです。

この方法は孫や子どもとのコミュニケーションを図る機会にもなるため、一石二鳥の効果が期待できるでしょう。

③周りの人と一緒に学ぶ

同世代の友人や近所の人と一緒に学ぶことで、安心感をもちながらデジタルツールに慣れていけます。

「自分だけが初心者ではない」と感じられる環境は、学習へのモチベーション維持に効果的です。

このような点から、一人で悩まず、周囲を巻き込んで学ぶ姿勢を持つと良いでしょう。

④自治体・町内会のイベントに参加する

多くの自治体では、高齢者向けのスマートフォン講座や、デジタル活用支援のイベントなどを開催しています。また、携帯電話ショップやパソコンショップなどの民間企業との連携でイベントが催されるケースもあります。

このようなイベントに参加できれば、デジタルツールに実際に触れたり、教えてもらえたりするため、利用までのハードルを大きく下げることが可能です。

⑤教室やスクールを利用する

体系的にデジタルスキルを身につけたい場合は、パソコン教室やスマートフォン講座の受講が効果的です。

このような教室やスクールでは、専門のインストラクターから丁寧に指導を受けられるため、独学よりも効率的に学べます。とくに、シニア向けに特化した教室では、ゆっくりとしたペースで基礎から教えてもらえる点がメリットです。

自治体・町内会でできるデジタル化の対策とは?

高齢者のデジタル化対応は、本人の努力だけでなく、地域全体での支援が欠かせません。

自治体や町内会が主体となって取り組むことで、地域全体の情報格差の解消につながります。

最後に、自治体・町内会でできるデジタル化の対策について、以下3点を解説します。

①説明会を実施する

スマートフォンの基本操作やオンラインサービスの使い方を学べる説明会の開催は、高齢者のデジタル化支援に効果的です。

たとえば、東京都渋谷区では、65歳以上の区民約1,000名以上を対象にスマートフォンを無料で貸し出し、使い方の勉強会を実施しています。この勉強会では、実際に機器を操作しながら、相談し、学べる点で評価されていました(※)。

初心者でも安心して参加できるよう、少人数制やサポートスタッフの配置を検討すると良いでしょう。

(※)参考:東京都渋谷区「高齢者デジタルデバイド解消事業 研究成果報告」

②定期的にイベントを実施する

デジタル活用支援のイベントは、一度切りではなく、継続的な開催で実施するのが高齢者の学習定着に効果的です。

たとえば、山口県では、講座内で複数回にわけてスマートフォンの操作を学べる「スマホサポーター」の養成講座を実施しています。この講座は最終的に実際に利用してテストを受ける形式となっているため、高齢者のアウトプットの場にもなります(※)。

このように、定期的なイベントは高齢者の学習意欲やモチベーションの向上につながるため、自治体・町内会の施策として効果的です。

(※)参考:山口県「デジタルデバイド対策加速化事業 「スマホサポーター」養成講座の開催について」

③マニュアルを作成する

操作方法を図解でわかりやすくまとめたマニュアルの配布は、高齢者の自主学習を支援します。また、そのマニュアルをデジタル活用支援のイベントで活用すれば、イベントで学んだ内容を自宅で復習できる体制が整えられます。

このようなことから、紙媒体のマニュアル作成は、デジタルが苦手な高齢者への配慮として有効といえるでしょう。

【まとめ】デジタル化は地域との連携で解消できる!

本記事では、デジタル化に取り残された高齢者はどうすれば良いかについて、もたらす影響や原因、対策や自治体のできることも交えて解説しました。

社会全体のデジタル化が進むなか、高齢者がデジタル化に取り残されてしまう背景には、心理的なハードルや経済的な負担、学習機会の不足など、複合的な要因が存在しています。

ただ、デジタル化への対応は、本人の努力だけで解決できる問題ではありません。家族のサポートや自治体・町内会の取り組み、地域全体での支援体制が欠かせないでしょう。

自治体・町内会としてデジタル活用支援をおこなう場合には、本記事で紹介したような対策を講じてみてください。

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